インド料理の教室で、先生が「今日は特別なものを作ります」と言った。鍋に入れた緑豆が、じっくりと炒められ、バターと砂糖が加わると、部屋中に甘く香ばしい香りが広がった。それがムングダルハルワとの出会いだった。
ムングダルハルワとはどんなお菓子?
ムングダルハルワ(Moong Dal Halwa)は、緑豆(ムングダル)を挽いた粉をギー(澄ましバター)でじっくりと炒め、砂糖とミルクを加えて煮詰めた北インドの伝統的なスイーツだ。カルダモンやサフランで香りをつけ、ピスタチオやアーモンドを散らして仕上げる。濃厚でなめらかな食感と、深い甘さが特徴だ。
冬の祭りと黄金色のお菓子
ムングダルハルワは、インドの冬(11月〜2月)に特に多く作られる。寒い季節に体を温める食べ物として、また結婚式や祭りのお祝いの席に欠かせない存在だ。
インド最大の祭り「ディワリ」(光の祭り)は、毎年10月〜11月に行われる。家々にランプを灯し、花火を上げ、家族や友人にお菓子を贈り合う。ムングダルハルワはこの時期の定番の贈り物だ。
ディワリはヒンドゥー教の祭りだが、現代ではインド全土の宗教・地域を超えて祝われる国民的な祭日となっている。
ギーという黄金の食材
ムングダルハルワの風味の鍵を握るのが「ギー」だ。ギーはバターを加熱して水分と乳固形分を取り除いた澄ましバターで、インド料理に欠かせない食材。古代インドの医学「アーユルヴェーダ」では、ギーは体に良いとされ、神聖な食材として扱われてきた。
日本でも出会える
インド料理店のデザートメニューや、インド食材店で見かけることがある。ギーと緑豆粉があれば家庭でも作れる。じっくり炒める工程が大切で、その香りが広がる時間もまた、このお菓子の魅力のひとつだ。
緑豆が黄金色に変わっていく過程に、インドの人々の丁寧さと愛情が宿っている。
寒い日に、温かいムングダルハルワはいかがでしょうか。
